骨粗しょう症ってどんな病気?

骨粗しょう症とは、骨の中のカルシウム量が減少し、骨がスカスカになり、
骨の密度が低下して、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。

加齢、閉経や食事でのカルシウム不足、運動不足などが、骨粗しょう症になりやすい要因です。
骨量は若い時の20~30歳頃をピークに、年を重ねるとともに減少していきます。
骨量が減少すると、背骨が身体の重みで潰れたり、背中や腰が曲がったり、背中が痛んだり、骨が変形し圧迫骨折を起こしやすくなります。

 

骨粗しょう症はなぜ怖いの?

骨粗しょう症の一番の問題は、骨折しやすくなるということです。
自覚症状がほとんどなく、進行すると気が付かないうちに骨折していたり、ちょっとした転倒や軽く尻もちをついただけで背骨を骨折してしまい、介護が必要になることもあります。
なかでも足の付け根の骨を骨折してしまうと、 身体を支える働きが損なわれてしまい、寝たきりの原因になることも多く、特に注意が必要です。

 

骨粗しょう症になりやすいのはどんな人?

年齢とともにカルシウムが不足したり、運動不足が続くと骨密度は低下しやすくなります。
閉経後の女性、糖尿病、リウマチ、脂質異常症の方や、タバコを吸う人、たくさん飲酒をする人、これまでに骨折したことがある人は、同じ骨密度でもより骨折しやすいと言われています。

さらに、偏食や極端なダイエットも原因と考えられ、最近は若い女性の骨粗しょう症も問題視されています。

 

骨粗しょう症はいつ頃から気を付ければいいの?

骨は強度を保つために、性ホルモンの働きによって常に作り替えられています。
しかし性ホルモンが減少する50歳前後、特に女性は閉経後、急激に骨量が低下し、50歳以上の女性の24%、80歳以上の女性の約半数が骨粗しょう症と推測されます。

骨粗しょう症予防に大切なのは、50歳以降の骨量低下を食い止めることです。
そのため、 60歳になる前に1度は骨粗しょう症の検査を受けることをお勧めします。

骨粗しょう症を自分で知るには?

骨粗しょう症の初期には自覚症状がありません。
下の項目に1つでも当てはまるものがあれば、骨粗しょう症が進行しているサインです。
早めに受診して治療を行い、骨折を防ぎましょう。
《骨粗しょう症のサイン》

  1. 身長が4cm以上縮んだ
  2. 背中や腰が丸く曲がってきた
  3. 些細なことで骨折したことがある
  4. 立ち上がる時や重い物を持つ時に背中や腰が痛む
  5. 家族に骨粗しょう症の人がいる

 

骨粗しょう症はどんな検査でわかるの?

●レントゲン検査
背骨に骨折があるかどうか、背骨の変形がどれくらい進んでいるかを確認できます。

●DXA(デキサ)法:(骨密度測定)2種類の微量のX線をあて、骨量を測ることができます。
最も一般的な検査方法です。
骨折しやすい背骨や、太もものつけねの骨量を正確に測定できます。

●血液検査
骨がどれくらい壊されているか、どれくらい作られているかを確認できます。
お薬を選ぶ時や、お薬の効果を確認する時にも用いられます。

骨粗しょう症は治療できるの?

お薬で骨粗しょう症の進行を緩やかにし、骨折を予防することができるようになりました。
骨が壊されるのを妨いだり、骨を作る働きを助けたり、カルシウムの吸収を助けたりするお薬があります。
定期的に受診し、骨粗しょう症のお薬を継続することで、骨粗しょう症による骨折が起こりにくくなります。
自己判断で治療を中止せず、継続することがとても重要です。

当院では、個々の患者さんの年齢や症状の進み具合を考え合わせながら、治療方法を一緒に選んでいきます。

 

どんなお薬があるの?


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骨を強くするにはどうしたらいいの?

骨を強くするには、適度な運動と、カルシウム・ビタミンDの摂取が必要です。
また日光を浴びると、カルシウムの吸収率を高めるビタミンDが皮膚で作られ骨を丈夫にします。

 

どんな運動をしたらいいの?

骨に体重をかけることで、骨を強くする効果が期待できます。
また筋肉を鍛えることで転倒予防につながります。
散歩や片脚立ち、スクワットなどの軽い運動でも十分です。無理せず自分のペースで続けましょう。

▓▓下肢筋力をつける「スクワット」(5~6回で1セット、1日3セット)▓▓
1) 脚を肩幅に広げて立ちます
2) お尻を後ろに引くように、2~3秒間かけてゆっくりと膝を曲げ、ゆっくりと元に戻りましょう
3) スクワットができない場合
椅子に腰掛け、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返します

机に手をつかずにできる場合は、机に手をかざして行いましょう

 

▓▓バランス能力をつける「片脚立ち」▓▓
1) 姿勢をまっすぐに立ち、床から10センチほど離して1分間片脚を上げましょう
2) 反対側の足も、同じように1分間上げましょう
3) 1日3回(朝・昼・晩)行いましょう

いつもの食事にカルシウムをプラスしよう!

骨を作る材料であるカルシウムや、カルシウムの吸収を助ける働きのあるビタミンD、
骨を作る働きを助けるビタミンK、たんぱく質などを、毎日のお食事でバランスよく摂取することが大切です。


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カルシウムは1日800mgが目標!

骨の栄養といえば、まずカルシウムです。不足気味の人が多く、特に高齢になると食事量が低下し、カルシウム摂取量も減ってしまいます。いつもの食事にカルシウムを200mgプラスして、丈夫な骨を作りましょう。

 

もう1つの骨の栄養、それはビタミンD!

カルシウムを効率よく吸収するためには、ビタミンDが欠かせません。
ビタミンDは腸に働いてカルシウムの吸収を高めるほか、骨の細胞に働きかけて代謝を活発にします。

ビタミンⅮは、日光を浴びることにより皮膚で生成されます。毎日散歩するなど、外に出て運動習慣をつけましょう。運動は、骨を強くして筋力アップにもつながります。

 

骨を作る働きを助けるたんぱく質の摂取を!!

高たんぱく質食はカルシウムの吸収を高めてくれます。また、タンパク質はコラーゲンや筋肉構成の成分でもあり、骨量・筋力の保持、そして転倒の防止が期待できます。