頭痛について

日本人の約4人に1人が経験するという頭痛。一言で頭痛といっても、症状はひとそれぞれであり、感じ方も違います。また、慢性的な頭痛(一次性頭痛)もあれば、緊急を要する頭痛(二次性頭痛)もあります。二次性頭痛に関しては、診断がつき次第専門病院での治療が必要となってきます。

しかし、圧倒的に多いのは一次性頭痛であり、特に片頭痛は、専門的な治療を受けることで症状を緩和することができ、それによってQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大きく向上させることが可能です。その多くが、10代に発症し、社会人になると悪化しますが、大抵ただの頭痛だと市販の鎮痛薬でやり過ごし、『体質だから』とあきらめている方が多いことも実情です。意思と体は相反し、『動きたくない』あるいは『動けない』というのが片頭痛の特徴です。

最初は鎮痛薬の効果がありますが、段々と飲む頻度が増え、逆に効果は薄れるという、気が付いたらほぼ毎日飲んでいるといったことも珍しくありません。その結果、鎮痛薬が手離せなくなり1ヶ月に15日以上服薬し、それが3ヶ月以上続いた場合、薬物乱用頭痛と診断されます。薬物乱用頭痛は治療するのが厄介です。薬を飲む回数が増えた、薬の効果が低下してきたと感じたら危険のサインです。

片頭痛は治療薬や予防薬を使って治療しますが、更に近年は注射剤も使用されるようになり、その有効性は目を見張るものがあります。頭痛に対する恐怖感が消え、人生が明るくなったという人も多く見られ、仕事や生活の質の向上は明らかです。

あなたの頭痛はどのタイプですか?

このような症状で生活に困っていませんか?

 

一次性頭痛

頭の片側や全体がズキズキと激しく痛み、日常生活に使用が出る。過去に医師に片頭痛だと診断され鎮痛剤を処方されたが、コントロールが上手くいかない。
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軽い痛みが数時間から数日続く。後頭部を中心に締め付けられるように痛む。
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目の前がキラキラして光が見える、または見えにくい。片目の奥に激しい痛みが生じる。
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緊張型と片頭痛の両方

 

二次性頭痛

けいれんや意識障害を伴う、今までに経験したことがない(普段と違う)。
手足の麻痺やしびれ、言葉が上手く話せない、物が二重に見えるなどの神経症状を伴う。
※診断がつき次第、専門施設での治療が必要です。

鎮痛剤を月に15日以上内服している。片頭痛だと自己判断して、市販薬で自己コントロールしている。鎮痛薬の飲みすぎによるもの。
だんだんと飲む頻度が増え、気が付いたらほぼ毎日飲んでいる。頭痛薬の効果が無くなってきた。
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受診にあたって、事前に記入した問診票をお持ちいただくと受付がスムーズに進みます。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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片頭痛とは

片頭痛は、日常生活に支障をきたすほどの一側頭部あるいは頭全体の激しい拍動性の痛みを特徴とし、悪心・嘔吐・光過敏・音過敏などを伴う場合があります。日本では約840万人が罹患している、神経性の疾患です。

強い痛みを起こすため、お仕事や日常生活への支障が大きい頭痛です。症状が現れている時にはかなりつらい頭痛ですが、症状の持続時間は4~72時間程度で、症状が消えると普段と変わりなく過ごせます。症状を起こす頻度は、数か月に1度から週に数回とかなり幅があります。適切な薬を使用することで痛みをコントロールすることができます。

片頭痛が起きるきっかけは、悪天候、精神的なストレス、または強いストレスからの解放、寝すぎや寝不足などがあげられます。またホルモンバランスの崩れも、症状を引き起こす原因となり、月経周期の決まった時期に片頭痛を起こすケースもあります。

 

片頭痛の治療について

・片頭痛の急性期の治療は、早期の頭痛やそのほかの症状を改善させ、通常の日常生活が送れるようにすることを目標とします。

■片頭痛の急性期治療

製品例:イミグラン、マクサルト、レルパックス、ゾーミッグ、アマージ、レイボーなど
片頭痛の治療薬の代表は「トリプタン」です。痛くなる前兆の段階で内服し、その後の頭痛の発生を抑える場合もあります。トリプタンの中にも様々な薬があります。一般的な薬よりも幾分早く効くように作られています。
発作はいつ起こるか分からないので、寝室や職場、カバンの中など、いつも身近に持っていることをお勧めします。

■鎮痛剤

製品例:ロキソニン、カロナール、ボルタレン、ブルフェンなど
いわゆる鎮痛剤と言われているものです。片頭痛に緊張型頭痛が合併している場合もあるため通常の鎮痛薬も使用しますが、効果が限定的となります。市販薬は薬物乱用頭痛へ移行するリスクが高く、推奨していません。

■予防薬

製品例:エムガルティ、アイモビーグ、アジョビ、デパケン、ミグシス、インデラル、トピナ、トリプタノール、五苓散など
片頭痛治療の中核となるのは、予防薬です。発作が多い、頭痛がひどすぎる、予防した方が日々の生活を送るうえでよい、という方に処方されます。

 

緊張型頭痛とは

一次性頭痛のなかで最も多いもので、頭の周囲が締め付けられるように痛くなるタイプの頭痛を起こします。約2000万人が罹患していると言われています。頭の周囲だけでなく、首筋から肩、背中にかけて痛みを起こすこともあります。また、頭が痛い、体がふわふわするようなめまいを感じるといった症状を起こすこともあります。しかし片頭痛と違って、頭痛の為に寝込んでしまうということは殆どありません。

長時間のパソコン作業や運転、何日も緊張が続く状態など、ストレスや姿勢から頭から首筋、肩、背中にかけての筋肉に力が入り続けることで起こるとされています。筋肉と心へのストレスが重なって頭痛が悪化するケースがよくあります。スマートフォンの普及に伴い、小・中学生でも珍しくなくなりました。

 

緊張型頭痛の治療ついて

【薬物療法】
■急性期治療薬:カロナール、ロキソニンなどの鎮痛剤
■予防薬:トリプタノール

基本的には、鎮痛剤による対症療法となりますが、鎮痛剤を使用しすぎると薬物乱用性頭痛の原因となることがある為、注意が必要です。
首や肩の筋肉のこりが強い場合は、筋肉の緊張をほぐすような薬を使用し、精神的なストレスなどが原因と考えられる場合は抗不安薬を使うことがあります。

【運動療法】
ストレッチやトレーニングや入浴など
・痛みに関係する分だけでなく、左右対称の動きを心がけて全身をバランスよく動かすことが重要です。
・入浴はぬるめのお湯に長くつかり、身体を芯まで温めて血行を改善させ続けます。

 

群発頭痛とは

片目の奥に起こる激しい頭痛が数週~数か月の期間群発することが特徴です。夜間、睡眠中に頭痛発作が起こることが多い頭痛で、頭痛と同側の結膜充血や鼻汁・鼻閉・発汗などを伴い、15~180分間持続します。日本では12万人ほどが罹患していると言われています。

群発頭痛の治療について

【薬物療法】:スマトリプタンの皮下注射、あるいは酸素療法(7L/分、15分間の吸入)

 

薬物乱用頭痛とは

頭痛薬を飲む回数が増えて、そのことで頭痛の症状が悪化・慢性化してしまっている状態です。薬剤の使用過多による頭痛のことをいいます。日本では、120~240万人いると言われています。頭痛薬を常用していると脳が痛みに敏感になり、ちょっとした刺激で強い痛みを感じるようになります。結果的に頭痛が起こる回数が増え、かつ痛みも強くなってしまい、症状を悪化させてしまいます。

薬剤によって頭痛を増強させているということを知らずにいると、鎮痛剤を頻繁に使用し、さらに頭痛が悪化、また薬剤の効果も薄くなってしまうという悪循環が起こります。鎮痛剤を15回以上/月(トリプタンは10日以上/月)3ヶ月を超えて定期的に使用するような場合は、薬物乱用頭痛と診断されますので受診が必要です。

片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛がある方が多く、市販薬によるものがほとんどを占めます。
頭痛外来の医師であれば、薬物乱用頭痛になるリスクのある処方をすることはありません。
もし下記のような症状があれば、一度当院の頭痛外来を受診することをお勧めします。

  • 頭痛薬を15回以上/月に内服している
  • 頭痛薬の効果がなくなってきた
  • 起床時にも頭痛がある
  • 頭痛の程度や部位などが以前とは異なっている時がある
  • 毎月数回程度の片頭痛があって薬を飲み始めた
  • ひどい頭痛を経験して、それから予防的に市販薬を服用してしまう

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